手応えなきウェブ就活、内定もモヤモヤ 採用は長期化

6月 17, 2020 未分類

選考解禁日から2週間あまり。2021年卒業予定の学生の就職活動は早くも佳境を迎えている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で急きょウェブ就活に切り替わるなど異例の事態に見舞われた。学生たちはどのように戦ってきたか、探偵団が21年卒就活の前半戦を総括する。

面接に向かう就活生(6月上旬、都内)

面接に向かう就活生(6月上旬、都内)

「来春から仕事に適応できるか、今からものすごく不安なんです」。第1志望の総合電機メーカーの内定をもらい就活を終えた、関西の国立大4年の男子学生はこう訴える。内定をもらったのはほかに損保や証券、通信など大手7社。社名を聞けばどれも人気企業ばかりの「内定長者」だ。しかし彼の表情はすっきりしない。

新型コロナの影響で就活の舞台はウェブ上に移った。ウェブ就活の利点は自宅に居ながら様々な企業を受けられる点だ。「自分は何に向いているかわからないからとにかく受けてみよう」。そう思って各業界の著名企業の説明会などを片っ端から聞いた。

対面の面接と違い、電車に乗るなどの移動時間が一切ない。1日に何件も説明会や選考を詰め込むことができ効率的だった。結果的に予想を上回る数の内定をもらうことができた。それ自体には満足している。

しかし「なぜ受かったのかよくわからないんです。それに内定をもらった会社のことは、いまだによくわかっていません」。受ける会社に出向いて説明会に参加したり、OB・OG訪問したりして足で稼ぐのが就活の基本だが、今年はそうした機会がなく、会社研究を深めることができなかった。

対面であれば面接の前後に人事担当者と気を抜いて話すタイミングがあり、その場で面接の手応えを確認できただろう。だが、始まりも終わりもスケジュール通りにボタン1つで済んでしまうウェブ面接に雑談の時間は生じようもなく、手応えも会社の雰囲気もつかみきれないままだった。

「臆せずもっと密に会社とコミュニケーションを取ればよかった」。就活が終わってもモヤモヤは消えない。

今年は新型コロナが学生の就活を直撃した。大手就職情報会社のマイナビの調査によると、5月末時点の内定率は48%。前年同月比で13.8ポイント低下した。前年割れは2カ月連続だった。

しかし1人当たりの内定(内々定)獲得社数をみると1.7で、昨年度(1.9社)と大きくは変わらない。つまり「もらっている人はもらっている」という構図だ。

外出自粛になり、学生が情報収集する環境は昨年と大きく変わった。都内のある私大のキャリアセンター幹部は「今年は企業研究が不十分のまま会社を選ばざるを得ないケースが多かった」とみている。

■内定辞退しやすく

メールで済ますか、電話で言うべきか、はたまた会社に足を運ぶべきか――。複数内定を持つ学生が抱えるのが、いかに穏便に内定辞退を会社に伝えるかという悩みだ。

「メールなので断りやすかった」。中央大4年の女子学生は4月に不動産ベンチャーの内定を正式に辞退した。

3月ごろまでに3回の対面面接を通過して内定を獲得。内定承諾書を手渡しされた3月の面談を最後にオンラインのやり取りにシフトした。

4月上旬には人事担当者から「内定承諾書を郵送するか、辞退する場合はメールで連絡してほしい」とメールがあった。3週間ほど猶予をくれた。もう一つの内定先である日系コンサルと期限ギリギリまで悩んだ末、恐る恐るメールで内定辞退の旨を伝えた。これに対し企業側から来た返信メールには、文頭「残念です」とあったものの、それ以下は当たり障りのない内容で、拍子抜けしてしまったという。

メールで内定辞退が完結した。「電話だと怖くて感情に流されうまく断れなかったかもしれない。文面にすることで冷静に断れた」と心の余裕が持てたようだ。

ウェブ中心の就活は学生の内定獲得や辞退の様子も変えている(画面に映る学生を面接する大手企業の採用担当者)

ウェブ中心の就活は学生の内定獲得や辞退の様子も変えている(画面に映る学生を面接する大手企業の採用担当者)

マイナビの調査では、入社意思の最も高い企業から、内々定通知後いつまでに承諾の意思を伝えるよう求められたか聞いたところ「1カ月以上先」が24%もいた。コロナ禍のもとでの就活で、企業側は学生に対し比較的寛容な姿勢を見せたといえる。

■就活も「自粛」

一方でまだ内定のない苦しい学生もいる。

「自粛期間中は何もする気が起きませんでした」。関西地方の大学院2年の男子学生はこう語る。実は1月に運良く第1志望の製薬会社のインターンを受ける機会を得て、2月には早期選考を受けた。しかし練習不足でうまく受け答えができず、落とされてしまった。

仕切り直しに動こうと思った矢先、合同企業説明会が相次ぎ中止が決まった。「俺って何でついていないんだろう」

大学も閉鎖になり、友人とも会えなくなった。実家にこもる日々。第1志望に落ちたショックから立ち直ることができずモチベーションが上がらなかった。テレビやスマートフォンアプリでドラマや映画を見たりして気を紛らわせた。外出自粛期間中、就活も「自粛」してしまった。

ある都内私大のキャリアセンター幹部は「今年は例年以上に『不稼働層』がいる」と指摘する。「ウェブ就活」元年となった今年の就活。大学が休校になるなど身近な情報源が失われた。そんな中、ウェブ上でいかに自ら情報収集し、行動できたかどうかで就活の結果に差が生まれたという。

一方で企業側も例年以上に二極化が進んだ。大手企業は知名度の高さからウェブ上でも学生を集めることができた一方、合同企業説明会がなくなり学生との接点を失った中堅・中小企業は、例年以上に採用活動に苦戦を強いられている。

「全体で見ると企業の採用活動は長期化するだろう」(採用コンサルタントの谷出正直氏)。停止していた採用活動を再開させたり、選考期間を延長したりする企業もある。「ナイ(無い)内定」学生が挽回できるチャンスはまだこれからだ。

(企業報道部 鈴木洋介氏、永森拓馬氏、茂野新太氏)

投稿者: 瑚心 すくい

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