シニアと若手 共に働くには

11月 15, 2019 未分類

強み持ち寄り相乗効果 「初心に帰れる」「知識や技吸収」
20~30代の5人に1人はシニアと働きたくない――。シニアを苦手とする若手社員が目立つ一方、定年後も働き続けるシニアは増えている。世代を超えて協力するには何が必要なのか。シニアと若手が一緒に働き、相乗効果を生み出している現場を訪ねてみた。

「シニアの方への先入観がなくなった」。損害保険ジャパン日本興亜・業務改革推進部の永田桃子さん(26)は振り返る。2016年4月の入社直後から同じ部署の内田次男さん(70)と一緒に働く。扱う業務が近いため、内田さんから教えてもらうことが多い。エクセルを使ったデータ処理も内田さんから学んだ。

当初は「シニアはプライドが高い」というマイナスイメージを持っていた。それでも内田さんが新入社員との食事会を企画したり、業務の合間に雑談をしたりする中で、本音を話せる相手になった。「シニアとレッテルを貼るのではなく、個人として見るようになった」。おかげで他部署の気むずかしいシニアとも打ち解けられた。「これからも経験や知識を積極的に吸収したい」と意気込む。

若手と働くことはシニアにも変化をもたらす。内田さんはグループ会社で社内システムの開発などに長年携わってきた。定年後5年間の再雇用を経て現在は派遣スタッフ。「経験や知識があるとそれに頼って仕事をこなしがち。若手は経験が少ないからこそ仕事が丁寧。初心に帰らねばと気づかされた」と話す。

旅行サイト、エアトリ(東京・新宿)が行った調査では「65歳以上の人と一緒に働きたい」と答えた20~30代は32%。「絶対一緒に働きたくない」との回答が7%など、約2割が否定的な反応を示した。調査では若年層ほどシニアと働くことに否定的な傾向が鮮明となった。

「仕事を教えてとお願いしたら、体験談を長々と語られて戸惑った」。65歳以上のシニアと働いたことがある男子学生(24)は振り返る。育った環境や価値観の相違から、若手とシニアではすれ違いが生まれがち。若手が苦手意識を持ってしまうことも多い。一緒に働き成果を出すには、お互いが「得意」を持ち寄ることが必要だ。

東急ハンズ渋谷店の小川幸夫さん(79)は10年に退職し、今はアルバイトとして働く。手作業で金属に加工を施す彫金に熟練する。その姿を間近に見て、同じ職場の国分秋穂さん(26)は「仕事に年齢は関係ないと思った」。

扱う商品は多岐にわたり、知識と経験が豊富な小川さんは知恵袋。国分さんも小川さんを頼ることが多い。ただ、小川さんは新しく導入した機械の扱いには苦戦する。そんな時には国分さんが手助けする。若手とシニアが補い合えば、業務は効率化し、苦手意識の払拭にもつながる。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の矢田玲湖雇用推進・研究部長は「シニアが働けば、若年層へ技能を伝承できる」と期待を寄せる。業務内容を熟知したシニアから若手が指導を受ける「ペア就労」を導入する企業もある。

ただ、ペア就労に取り組む企業では、若手がシニアからパワハラやセクハラを受けたと感じるケースもある。「ペア就労の前にシニアに教え方の研修を施すのも有効」(矢田部長)

シニアの処遇は、職場全体にも影響する。損保ジャパンの内田さんと同じ部署で働く松沢理恵子さん(36)は「内田さんはロールモデル」と話す。内田さんは週5日、午前9時から午後5時までのフルタイム。「自分も定年後、しっかり働いてもいいんだと思った」(松沢さん)

今や働く人の8人に1人が65歳以上。シニアと若手の融合は、業務の成果を左右する。

(田中早紀氏)

投稿者: 瑚心すくい

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