遅れる「特定技能」 外国実習生に脚光

積水ハウスなど、現地に訓練施設 建設・介護受け入れ拡大

4月に始まった在留資格「特定技能」の資格試験の整備遅れなどを背景に、従来の制度の技能実習生の受け入れを増やそうとする動きが建設や介護の分野で相次いでいる。積水ハウスや介護大手のウチヤマホールディングス(HD)は母国で人材育成して日本に受け入れる。2つの制度を組み合わせると在留期間を延ばせる利点もあり、人手不足が深刻な両分野で受け入れが広がっている。

積水ハウスは11月、ベトナムハノイに住宅の建設工事を訓練する施設を開く。同社の社員が住宅の基礎や仕上げ工事などの技術を指導。日本語も学んでもらう。3年で約300人を即戦力として育てる考えで、数カ月の研修を経て2020年春から順次、来日する。

大東建託も2014年にベトナムからの技能実習生を受け入れ始めたのに続き、2019年2月にはインドネシアにも広げた。ベトナムでの建設需要の拡大で応募者が減ってきたためだ。

受け入れた実習生には住居の賃料を一部補助する制度も整えた。実習生は同社が受注した木造アパートを施工する協力会社に紹介。190社向けに累計約740人の技能実習生の受け入れを支援してきたが、同1千人の受け入れを目指す。

介護分野は技能実習生の受け入れ制度が2017年11月に始まり、建設に比べて活用が進んでいなかったが、動きが出ている。

九州地盤のウチヤマHDはインドネシア企業と合弁会社をつくり、2018年7月に職業訓練校を現地に設置。これまでにクリーニングやホテル業向けの人材を日本に送り出してきた。2020年1月に17人が介護分野の技能実習生として来日する。全員がウチヤマHDの介護施設で働く予定だ。

ヒューマンHD傘下で、介護事業を手掛けるヒューマンライフケア(東京・新宿)はベトナムで看護などを学ぶ学生をインターンシップとして受け入れようと現地の3大学と協定を結んだ。20年1月にも受け入れを始め、学生は卒業後に技能実習生として来日する可能性があるという。

約30万人が在留する技能実習生の制度を巡っては、悪質な仲介業者による高額な金銭の要求や、事前の説明と実際の労働環境の相違などのトラブルの多さも指摘されてきた。積水ハウスは現地で家族説明会を開いたり、工事現場の様子の動画を見せたりし、安心して来日できるようにする。賃金も日本人に近い水準にし、待遇は事前に示す。

特定技能を巡っては政府は介護で最大6万人、建設で4万人が5年間に来日すると試算する。ただ、試験を始めた介護では合格者は少なく、筆記に加え実技も必要な建設は準備に時間がかかり、試験は始まっていない。国によっては来日前に必要な日本式の施工の技能訓練についても実施環境を整えている最中だ。日本の給与水準の魅力が薄れていることも特定技能が進まない背景にある。

ただ、3年間の技能実習を修了すれば職種によっては無試験で特定技能の資格を得られ、在留期間が5年延長できる。その後、さらに一定の能力や資格を得れば在留期間が実質、無期限になるケースもある。

両分野ではパートを含む常用の有効求人倍率が8月に「建設・採掘」で5.34倍、「介護サービス」で4.43倍と、全体の1.44倍を大きく上回った。建設経済研究所(東京・港)の試算では建設作業員は30年に最大56万人が不足し、介護職員も厚生労働省の推計で25年に約34万人足りない。中長期的な人材育成のため、コストや手間を費やしてでも、技能実習生から「一人前」に育てようとする積水ハウスのような動きが増えそうだ。

投稿者: 瑚心すくい

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