日経実力病院調査 子宮がん、治療の負担減

臓器温存で出産可能にも

年間約2万6千人が罹患(りかん)する子宮がんは女性で5番目に新規患者数が多いがんだ。子宮頸(けい)がんと子宮体がんの2種類に分かれるが、患者数は増加傾向にある。公開データを基にした日本経済新聞の実力病院調査で症例数の多かった病院では出産を希望する患者に対して標準治療だけでなく新たな治療法で選択肢を増やすほか、患者の負担を減らす取り組みも目立った。

子宮は洋ナシを逆さまにしたような形で、胎児が宿る袋状の体部が上にあり、筒状で膣(ちつ)につながっている頸部が下にあり、がんの治療法は異なる。

子宮頸がんは主に性交渉を通じて感染する「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が原因。がんが子宮頸部の表面にとどまっている早期ならば、円すい状に切除する円すい切除術が基本だ。がんが子宮の筋肉部分まで浸潤(しんじゅん)している場合では、子宮を全摘する。

今回の調査で子宮がんの「手術あり」が488例で全国2位だった兵庫県立がんセンター(兵庫県明石市)。子宮全摘が必要な場合でも出産を望む患者に新たな治療法として「広汎(こうはん)子宮頸部切除術」を実施している。子宮頸部と周辺を広範囲に切除し子宮体部を残すことで、出産できる可能性がある。

同病院ではこれまでに36人に実施し、10人が妊娠し、8人が出産した。婦人科の山口聡部長は「子宮を残せたとしてもその後に妊娠・出産できるかどうかは困難な課題がたくさんある」と説明する。

放射線治療はがんが転移するなど進行した3期以上だけでなく、初期でも有効だ。外科手術との効果に差はないとされるが、日本では手術を選ぶ人が多い。

放射線治療でも放射線腸炎などの副作用が出てくることはある。山口部長は「排尿障害やリンパ浮腫といった手術特有の後遺症を避けたい人や、合併症のある人、高齢者が選択する傾向がある」としており、患者の選択に委ねている。

早期の子宮頸がんも18年から保険適用で腹腔鏡手術を受けられるようになった。ただ同年の海外の臨床研究では開腹での広汎子宮全摘手術よりも再発率が高く、生存率が劣ることが報告されたため、同病院は慎重に対応しているという。

子宮がんの「手術あり」が268例で全国3位の埼玉県立がんセンター(埼玉県伊奈町)も同様に、子宮頸がんの腹腔(ふくくう)鏡手術は慎重に検討しているという。

浸潤している子宮頸がんは骨盤リンパ節に転移している可能性もある。そうした場合では術後に放射線治療薬物療法を組み合わせた化学放射線療法を追加しており、横田治重副院長は「再発を減らす効果が期待できる」と説明する。

骨盤リンパ節転移が強く疑われる場合は手術はせず、初めから同時化学放射線治療をすることで、手術に術後照射を加えた治療と同等の効果を得ることができ、重篤な治療関連の後遺症を減らすことができる。

放射線治療は体の外からリンパ節領域を含めた一定範囲に照射する方法(外照射)と、膣から内部に照射する方法(膣内照射)がある。「照射する機械のコンピューターで制御できるようになり、ともに精度は高まっている」(横田副院長)と話している。

投稿者: 瑚心すくい

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