妊婦に安全な薬剤、厚労省がデータベースで共有化へ

9月 8, 2019 妊婦

厚生労働省は妊婦が適切に服薬するため情報提供を強化する。胎児への影響を恐れて妊婦の服用を推奨しない薬が多いが、最新の研究でリスクが低いことが確認されているケースも少なくない。このため最新の研究結果のデータベースを全国の拠点病院で共有し、妊婦が安全な薬を服用できるよう医療機関での指導に生かす。

妊婦の服薬に関するデータベースは国立成育医療研究センター(東京・世田谷)に設置された「妊娠と薬情報センター」が国内外の臨床研究の結果を蓄積している。

厚労省は同センターのデータベースをクラウド上に再構築し、成育医療研究センターと連携する全国51カ所の拠点病院と共有化する。関連予算として5600万円を2020年度の概算要求に盛り込んだ。

データベースを共有化すれば拠点病院の医師は診療中にリアルタイムでデータを確認できる。将来的には他の医療機関も拠点病院にオンラインでデータ取得の申請ができるようにする。

妊娠と薬情報センターは2005~18年に寄せられた妊婦の服薬に関する相談のうち、先天的に身体異常を持つ子供が生まれるリスクなどに関する約1万3千件を分析。相談件数の多い上位100種類の薬では、66種類で妊婦の服薬を「禁忌」「投薬は好ましくない」などと添付文書で推奨していなかった。

ところが同センターで収集している最新の臨床研究と比較すると、63種類は妊婦の服薬は添付文書の記載よりリスクが低い可能性があるという。

妊婦が必要な薬を服用できない影響は大きい。ある女性は妊娠したため、精神科医から抗うつ剤の服用中止を指示されたが、度重なるパニック障害の発作が起きた。成育医療研究センターでは胎児への安全性を確認したうえで服薬を再開した。

日本医師会の平川俊夫常任理事(産婦人科医)は「服薬しないことで自殺願望が強まるなど、かえってリスクが増大する恐れがある」と指摘する。降圧薬や風邪薬、痛み止めなど多種の薬剤で同様の問題があるという。

妊娠と薬情報センターの村島温子センター長は「添付文書は動物実験に基づいていて、発売以降は何十年も改訂されないことも多い。添付文書だけでなく、臨床現場の知見も踏まえたうえで、投薬を判断すべきだ」と話している。

投稿者: 瑚心すくい

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